
投資を考える際、株式や債券といった伝統的な資産に加え、コモディティ(商品)への投資を検討する人が増えています。コモディティとは、金や原油、農産物などの実物資産を指し、その価格は世界経済の動向や需給バランス、地政学的リスクなどの影響を大きく受けます。特にインフレが進行すると、コモディティ価格は上昇しやすい傾向があり、資産の価値を守る「インフレヘッジ」としての役割も期待されています。
しかし、コモディティに直接投資するのは難しく、一般的な個人投資家にとっては手間がかかります。そのため、投資信託を通じて手軽にコモディティ市場へ参加できる「コモディティ投資信託」が注目されています。
本記事では、NISAを活用したコモディティ投資信託の特徴や代表的な商品、投資のメリット・デメリットについて詳しく解説していきます。コモディティ投資信託がNISAに適しているのか、どのような点に注意すべきなのかを理解し、自分に合った投資戦略を見つけるための参考にしてください。
金・原油・農産物…コモディティ投資信託で資産を守るおすすめ戦略

- コモディティ投資信託とは何か?
- なぜコモディティ投資信託が注目されるのか?
- 代表的なコモディティ投資信託の比較
- eMAXISプラス コモディティインデックスの評判
- NISAで投資可能なコモディティ投資信託
- 初心者にもおすすめのコモディティ投資信託の選び方のまとめ
コモディティ投資信託とは何か?
コモディティ投資信託とは、金・原油・農産物・天然ガスなどの「コモディティ(商品)」に投資する投資信託のことです。一般的に、これらの商品はインフレヘッジや分散投資の手段として注目されており、株式や債券とは異なる値動きをするため、ポートフォリオの安定化に役立ちます。
通常、コモディティに直接投資するのは難しいですが、投資信託を通じて間接的に投資することが可能になります。コモディティ投資信託の仕組みは、主に以下の2種類に分かれます。
① 先物を活用した投資信託
多くのコモディティ投資信託は、コモディティ先物を活用しています。これにより、現物を保有することなく、原油や金などの価格変動に投資できます。
📌ポイント
✔ 現物を保有せず、流動性が高い
✔ 先物のロールオーバー(乗り換え)コストが発生する
✔ 投資対象の先物市場の動向に影響を受ける
② コモディティ関連企業に投資するファンド
一部の投資信託は、コモディティそのものではなく、金鉱株やエネルギー関連企業などの株式に投資するタイプです。
📌ポイント
✔ 企業の業績や株式市場の影響を受ける
✔ 株式型なので、配当が期待できる場合もある
✔ コモディティ価格との連動性はやや低め
なぜコモディティ投資信託が注目されるのか?
近年、コモディティ投資信託はインフレ対策や分散投資の観点から、個人投資家にも注目されています。その理由をまとめてみました。
インフレに強い
コモディティの価格は、インフレ(物価上昇)とともに上がる傾向があります。たとえば、原油価格や金価格は、インフレ時に上昇することが多いため、資産価値を守る手段として利用されます。
株や債券と異なる値動き
株式や債券市場が不安定なときでも、コモディティは独自の動きをすることがあり、リスク分散の効果が期待できます。特に、景気後退時には金が買われやすくなるため、リスクヘッジの一環として活用されます。
少額から投資可能
コモディティの現物投資には高額なコストがかかることが多いですが、投資信託を活用すれば、少額から分散投資が可能です。
一方で、短期的な価格変動が大きいため、長期投資向きではないケースもあります。投資を検討する際は、ファンドの運用方針や手数料、投資対象をよく比較し、自分の投資目的に合った商品を選ぶことが大切です。
コモディティ投資信託を上手に活用し、リスクを分散しながら資産を守りましょう!
代表的なコモディティ投資信託の比較
代表的なコモディティ投資信託を比較した表はこちら↓
投資信託名 | 連動対象 | 信託報酬 |
---|---|---|
eMAXISプラス コモディティインデックス | ブルームバーグ商品指数 | 0.9% |
iシェアーズ コモディティインデックス・ファンド | S&P GSCIトータルリターン指数 | 1.0085% |
“RICI”コモディティ・ファンド | RICI指数 | 1.045% |
DWS コモディティ戦略ファンド(年1回決算型)Bコース(ヘッジなし) | 各種コモディティ指数 | 1.65% |
SMTAMコモディティ・オープン | ブルームバーグ商品指数 | 1.1% |
これらの投資信託は、それぞれ異なるコモディティ指数に連動しており、信託報酬やリターンも異なります。投資を検討する際は、各ファンドの連動対象や手数料、過去のパフォーマンスを比較し、ご自身の投資目的やリスク許容度に合った商品を選択することが重要です。
特に、信託報酬は長期的なリターンに影響を与えるため、注意が必要です。また、過去のリターンは将来の成果を保証するものではないため、最新の情報を確認し、総合的に判断することをおすすめします。
コモディティ投資信託を活用することで、株式や債券とは異なる値動きを取り入れ、ポートフォリオの分散効果を高めることが期待できます。ただし、コモディティ市場は価格変動が大きいため、リスク管理を徹底し、慎重に投資判断を行いましょう。
値上がりが期待できる?コモディティ投資信託の市場動向とおすすめ銘柄?
代表的な商品は「eMAXISプラス コモディティインデックス」です。
コモディティ投資信託のなかでも、信託報酬がやすく色々な商品に分散されているので使いやすいと思います。
eMAXISプラス コモディティインデックスの評判
MAXISプラス コモディティインデックスは、三菱UFJアセットマネジメントが提供する投資信託で、ブルームバーグ商品指数トータルリターン(円換算ベース)をベンチマークとし、コモディティ市場全体への投資を目指しています。
このファンドは、金、原油、農産物など、多様な商品に分散投資することで、ポートフォリオのリスク分散やインフレ対策を図ることができます。
実際の口コミをみてみましょう。
信託報酬は0.9%でやや高めですが、コモディティ市場への幅広い投資機会を提供している点で評価できる。
原油以外も含まれているので、原油ほど短期の材料での値動きが激しいわけではないですが、景気の影響は大きく受けてしまいがち…
戦争やインフレ局面など資源高、原油高が起きる場合、「eMAXISプラス コモディティインデックス」の方が株よりパフォーマンスが良くなるかも!
eMAXISプラス コモディティインデックスは、コモディティ市場への分散投資を求める投資家にとって、有力な選択肢の一つと言えるでしょう。ただし、コモディティ市場は景気や地政学的リスクの影響を受けやすいため、投資を検討する際は、リスク許容度や投資目的を十分に考慮することが重要ですね。
NISAで投資可能なコモディティ投資信託
NISAで投資可能なコモディティ投資信託は限られていて、つみたて投資枠は使えません。
成長投資枠を使って投資することができるのは、三井住友トラスト・アセットマネジメントの「SMTAMコモディティ・オープン」です。
さきほど紹介したeMAXISプラス コモディティインデックスと同じブルームバーグ商品指数への連動を目指す商品となっています。

信託報酬は少し高くなってしまいますが、NISA枠を使って投資したい方はこちらの商品を選択しましょう。
投資を検討する際のポイント
コモディティ投資信託は、インフレ対策や資産防衛の手段として有効ですが、価格変動が大きく、リスクも伴います。投資を検討する際は、以下の点に注意してください。
- 投資目的の明確化:インフレヘッジや資産の分散を目的とするのか、明確にしましょう。
- リスク許容度の確認:コモディティ市場は変動が激しいため、自身のリスク許容度を確認しましょう。
- ファンドの特徴理解:投資対象や手数料、運用方針などを十分に理解しましょう。
NISAを活用してコモディティ投資信託に投資することで、非課税のメリットを享受しつつ、資産の多様化やインフレ対策を図ることが可能です。ただし、投資商品や市場の特性を十分に理解し、慎重に判断することが重要です。
初心者にもおすすめのコモディティ投資信託の選び方のまとめ
コモディティ投資の魅力は、リスクヘッジやポートフォリオの分散効果が期待できる点にあります。しかし、その反面、市場の変動要因が複雑であり、予測が難しいことも事実です。特に、コモディティ価格は需給バランスや各国の金融政策、さらには地政学的な影響を大きく受けます。たとえば、原油価格はOPECの生産調整や国際情勢の変化により短期間で大きく上下することがあります。また、金は有事の際の「安全資産」としての特性があり、世界的な経済不安が高まると価格が上昇しやすくなります。こうした特性を理解した上で、自身の投資目的に合った商品を選ぶことが重要です。
また、投資の際には「どのタイミングで購入するか」も大切なポイントになります。コモディティ市場は、短期間で大きな価格変動を起こすことがあるため、積立投資などを活用し、価格の変動リスクを分散する戦略も有効でしょう。特にNISAを活用する場合、長期的な視点で投資を行うことが求められるため、短期的な値動きに一喜一憂せず、着実に運用を続けることが成功の鍵となります。
最後に、コモディティ投資信託を検討する際は、手数料や運用方針、過去のパフォーマンスをしっかりと確認し、自分の投資スタイルに合った商品を選ぶことが大切です。信託報酬が高いファンドもあるため、長期的に見てコストがかかりすぎないかどうかを考慮する必要があります。また、投資の基本として、1つの資産クラスに集中しすぎることなく、バランスの取れたポートフォリオを構築することが重要です。
コモディティ投資信託は、適切に活用すれば資産形成において強力なツールとなります。しかし、リスクも大きいため、自身のリスク許容度をしっかりと見極め、慎重に判断することが求められます。今回の記事が、NISAを活用したコモディティ投資を検討している方にとって、少しでも参考になれば幸いです。今後も、投資に関する知識を深めながら、自分に最適な投資戦略を見つけていきましょう。
個人的な投資方針はこちらの記事を↓
